賃貸物件の水道管が凍結・破裂した場合、修理費は原則としてオーナー(貸主)の負担です。ただし、凍結した蛇口に熱湯をかけて破裂させたなど、入居者の故意・過失が原因なら入居者の負担になりえます。線引きで揉めないためには、冬前の保温点検と入居者への予防の案内がいちばんの対策です。
この記事で分かること
- 水道管の凍結・破裂の修理費を誰が払うかの原則
- 入居者の負担になりうるケースと、その判断の考え方
- 水が使えない期間の家賃の扱い
- 冬前にオーナーがやっておきたい予防策
- 「水が出ない」と連絡が来たときの初動
【画像】建物の外壁沿いに露出した給水管に保温材が巻かれている様子
alt案:賃貸アパートの屋外の水道管に巻いた保温材
水道管の凍結・破裂の修理費は原則オーナー負担
民法606条では、賃貸人(オーナー)は賃貸物の使用に必要な修繕をする義務を負うとされています。ただし、賃借人(入居者)の責任で修繕が必要になったときは例外です。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」の解説コメントも、第9条(契約期間中の修繕)について、入居者の故意または過失が原因の場合を除き、修繕は原則として貸主が実施し費用を負担すると説明しています。給水管や蛇口、給湯器は建物の設備なので、寒波による凍結や破裂も、まずはオーナー側で修理を手配するのが基本です。
実際の負担は、賃貸借契約書の修繕条項や特約によっても変わります。冬を迎える前に、自分の物件の契約書を一度確認しておきましょう。
入居者の負担になりうるケース|線引きの考え方
判断の分かれ目は、「通常の使い方や注意で防げたかどうか」です。
| ケース | 負担の考え方(目安) |
|---|---|
| 寒波で屋外の露出配管が凍結・破裂した(保温材の劣化など) | 設備の問題としてオーナー負担が基本 |
| 凍結した蛇口や配管に熱湯をかけて破裂させた | 入居者の過失が問われる可能性 |
| 寒波の注意案内があったのに、長期不在で対策をせず破裂した | 案内の内容や経緯によって入居者の過失が問われる可能性 |
| 破裂に気づいたのに連絡せず放置し、被害が広がった | 拡大した部分について入居者の責任が問われる可能性 |
| 空室の配管が凍結・破裂した | オーナー自身の管理の問題 |
入居者には、修繕が必要な状態を知ったら貸主に遅滞なく知らせる義務(民法615条)もあります。最終的な負担は個別の事情で判断されるので、上の表はあくまで目安です。揉めそうな場合は、管理会社や弁護士などに相談しましょう。
【画像】凍結した屋外の蛇口にタオルを巻いて、ぬるま湯をかけている様子
alt案:凍結した蛇口をタオルとぬるま湯で溶かす方法
水が使えない期間の家賃はどうなる?
2020年4月施行の改正民法では、賃借物の一部が使えなくなり、入居者の責任でない場合には、使えなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されると定められています(民法611条)。水道が使えない状態が長引けば、減額や日割りの返金を求められることがあります。減額の割合に法律上の決まった数字はないため、状況に応じて話し合います。
また、入居者が修繕が必要なことを伝えたのにオーナーが相当の期間内に修繕しないときや、急迫の事情があるときは、入居者が自分で修繕できるとされています(民法607条の2)。その費用はオーナーに請求されることになります。連絡を受けたら、すぐに動ける体制を整えておくことが大切です。
水道管が凍結しやすい条件|神戸でも油断は禁物
国土交通省の資料では、次のような条件で水道管が凍結しやすいとされています。
- 最低気温がマイナス4℃以下になるとき
- 就寝前や旅行などで、長時間水を使わないとき
- 建物の外壁際など、露出している配管
- 北向きの日陰や、風が強く当たる場所の配管
神戸市の市街地は比較的穏やかですが、六甲山に近い山側や標高の高い地域、北向きで風が抜ける場所では、寒波の夜に冷え込むことがあります。普段凍結しない地域ほど保温対策が手薄になりやすいので、注意が必要です。
オーナーが冬前にやっておきたい凍結予防策
- 屋外の露出配管やメーターボックス周りの保温材を点検し、破れや剥がれを直す
- 寒波の予報が出たら、入居者に凍結予防の案内を配る(掲示・メール・アプリなど)
- 案内には「熱湯をかけない」「破裂したら元栓を閉めてすぐ連絡」と連絡先を書く
- 給湯器は機種によって凍結予防に電源が必要なので、取扱説明書の注意点を案内する
- 指定給水装置工事事業者など、夜間・休日に頼める修理先を決めておく
- 火災保険などの補償範囲(水漏れによる被害など)を保険会社に確認しておく
空室は「水抜き」と巡回を
空室は水を使わないため、凍結に気づくのが遅れがちです。破裂しても誰も気づかず、水漏れが下の階や隣の部屋に広がることもあります。可能なら止水と水抜きをし、寒波の後は巡回で確認しましょう。水抜きの方法は建物によって違うので、設備業者や管理会社に確認してください。
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【画像】入居者向けの「水道管凍結にご注意ください」と書いた掲示物の例
alt案:賃貸マンションの水道管凍結注意の掲示
入居者から「水が出ない」と連絡が来たときの初動
- 全部の蛇口で出ないのか、一部だけかを聞く
- 水漏れや配管の裂け目がないかを確認してもらう
- 破裂していれば、元栓を閉めて水を止めてもらう
- 破裂していなければ、自然に溶けるのを待つか、タオルを巻いてぬるま湯をゆっくりかけるよう伝える(熱湯は使わない)
- 破裂した場合は、水道事業者が指定する給水装置工事事業者に修理を依頼する
- 写真、日時、入居者とのやり取りを記録し、費用負担の判断に備える
口頭で「熱湯はダメ」と伝えるだけでも、破裂のリスクを下げられます。最初の電話の対応が、修理費も入居者との関係も左右します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸の水道管が凍結で破裂しました。修理費は誰が払いますか?
A. 原則はオーナーです。ただし熱湯をかけて破裂させたなど、入居者の故意・過失が原因の場合は入居者の負担になりえます。
Q2. 入居者に凍結予防の案内をしていれば、修理費を請求できますか?
A. 案内しただけで必ず請求できるわけではありません。ただ、過失の有無を判断する材料にはなります。案内の内容と配布日を記録に残しておきましょう。
Q3. 水が使えなかった日の家賃は減額しないといけませんか?
A. 入居者の責任でない理由で一部が使えなくなった場合、その割合に応じて賃料が減額されると民法で定められています。期間や影響の大きさを踏まえて話し合いましょう。
Q4. 入居者が勝手に業者を呼んで修理しました。費用を払う必要はありますか?
A. 通知しても相当の期間内に修繕されないときや、急迫の事情があるときは、入居者が自ら修繕できるとされています。破裂で水が噴き出しているような場合は、費用を負担することになる可能性があります。
Q5. 神戸でも水道管の凍結対策は必要ですか?
A. 市街地では頻度が低いものの、山側や標高の高い地域、北向きの露出配管では寒波時に注意が必要です。保温材の点検と入居者への案内は、簡単で効果的な備えです。
まとめ
- 水道管の凍結・破裂の修理費は、原則としてオーナー負担
- 熱湯で破裂させた、破裂を放置したなどは入居者の過失が問われる可能性
- 水が使えない期間は、賃料減額の対象になりうる
- 冬前の保温点検、入居者への案内、空室の水抜きが最大の予防策
- 連絡が来たら、元栓・熱湯禁止・指定業者の手配・記録の順で対応
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