12月に受け取った1月分の家賃が「今年の収入か、来年の収入か」は、入金した日ではなく、賃貸借契約で決めた支払日で判断するのが原則です。「翌月分を当月末までに支払う」という一般的な契約なら、1月分の家賃でも支払日は12月なので、今年の収入になります。一定の帳簿をつけている場合は、貸付期間に合わせて翌年の収入にする方法も認められています。
この記事で分かること
- 国税庁が示す家賃の収入計上時期の原則(支払日基準)
- 12月入金・1月入金・早払い・滞納のケース別の判定
- 前受収益として貸付期間に対応して計上できる要件
- 礼金・敷金はいつの収入になるか
- 年末にオーナーが確認しておきたいこと
※本記事は一般的な制度の紹介です。個別の申告は税理士または税務署にご確認ください。
【画像】賃貸借契約書の「賃料の支払」条項を指で示している様子
alt案:賃貸借契約書の家賃支払日の条項を確認するオーナー
家賃の計上時期の原則は「契約上の支払日」
国税庁のタックスアンサー「No.1376 不動産所得の収入計上時期」では、地代・家賃・共益費の収入計上時期を次のように示しています。
- 契約や慣習で支払日が決まっている場合:その支払日
- 支払日が決まっていない場合:実際に受け取った日(請求があったときに支払う定めなら、その請求の日)
つまり、通帳に入金された日ではなく、契約書に書かれた支払日が基準です。これを「支払日基準」と呼びます。多くの居住用の賃貸借契約は「翌月分を毎月末日までに支払う」という前払いの定めです。この場合、1月分の家賃の支払日は12月末なので、その年の収入になります。
12月入金の1月分家賃はどっちの年?ケース別早見表
2026年分の確定申告を例に、よくあるケースを整理しました(支払日基準で計上している場合)。
| ケース | 契約上の支払日 | 実際の入金日 | 計上する年 |
|---|---|---|---|
| 前払い契約どおり | 2026年12月27日(1月分) | 2026年12月27日 | 2026年分 |
| 前払い契約で入金が遅れた | 2026年12月27日(1月分) | 2027年1月10日 | 2026年分(未収家賃) |
| 当月払い契約で早めに入金 | 2027年1月5日(1月分) | 2026年12月28日 | 2027年分(前受け) |
| 支払日の定めがない | なし | 2026年12月28日 | 2026年分 |
ポイントは2つです。1つ目は、入金が年をまたいで遅れても、支払日が今年なら今年の収入になること。滞納分も「未収家賃」として計上が必要です。2つ目は、入居者が気をきかせて早めに振り込んでも、支払日が来年なら来年の収入になることです。
管理会社経由で送金される場合
管理会社が家賃を集金し、手数料を差し引いてオーナーへ送金する場合も、考え方の出発点は入居者との賃貸借契約の支払日です。管理会社からの送金日は、契約上の支払日とずれることがあります。年末は送金明細の「何月分の家賃か」を確認し、通帳の入金日だけで判断しないようにしましょう。
(内部リンク候補:失敗しない賃貸管理会社の選び方|オーナーが知っておきたいポイント https://www.mach-real-estate.
【画像】管理会社の送金明細書と通帳を見比べているデスク
alt案:家賃の送金明細と通帳を照合する様子
例外:前受家賃を貸付期間に対応して計上する方法
国税庁の個別通達「不動産等の賃貸料にかかる不動産所得の収入金額の計上時期について」(昭和48年11月6日 直所2-78)では、一定の要件を満たせば、その年の貸付期間に対応する賃貸料を収入とする方法が認められています。12月に受け取る1月分家賃を「前受収益」として翌年の収入にするイメージです。
事業的規模で貸し付けている場合の要件(すべて満たす)
- 帳簿書類を備えて継続的に記帳し、その記帳に基づいて所得を計算していること
- 賃貸料の全額について、貸付期間に対応する金額を継続的に計上し、前受収益・未収収益を帳簿で経理していること
- 1年を超える期間に係る前受収益・未収収益の明細書を確定申告書に添付していること
事業的規模でない場合も、1の記帳をしたうえで、1年以内の期間に係る賃貸料の全額について2を満たせば、同じ取扱いができます。なお、所得税法67条の2(いわゆる現金主義の特例)の適用を受ける人は対象外です。
途中で方法を変えた年の注意点
支払日基準から貸付期間基準に変えると、変えた年に計上の重なりや抜けが生じないよう調整が必要です。通達では、変更した年分の収入に含める金額の扱いも定められています。一度決めた方法は毎年続けるのが前提です。変更を考えるときは、事前に税理士へ相談しましょう。
礼金・敷金はいつの収入?
家賃以外の一時金は、扱いが異なります。国税庁No.1376の内容を表にまとめました。
| 受け取るお金 | 収入に計上する時期 |
|---|---|
| 礼金・権利金(引渡しが必要なもの) | 貸す物件を引き渡した日 |
| 礼金・権利金(引渡しが不要なもの) | 契約の効力が発生した日 |
| 敷金・保証金 | 預り金なので受け取っただけでは収入にならない。返還しないことが確定した部分は、確定した日の収入 |
たとえば12月に契約し、鍵の引渡しが1月の場合、礼金は引渡しのある翌年の収入として扱うのが原則です。退去時に敷金から差し引いて返さないことになった金額は、精算が確定した日の収入になります。
年末にオーナーが確認したい前受家賃のチェックリスト
- 賃貸借契約書の「賃料の支払時期」の条項を部屋ごとに確認する
- 12月分と1月分の家賃について、支払日と入金日を一覧にする
- 滞納中の家賃を「未収家賃」として把握しておく
- 管理会社の送金明細で、何月分の家賃かを確認する
- 貸付期間基準を使っている場合は、前受収益・未収収益の帳簿が続いているか確認する
- 年明けの確定申告に向けて、礼金・敷金精算の有無もまとめておく
12月は退去や新規契約も重なりやすい時期です。入居者ごとの契約条件がばらばらだと、集計に手間がかかります。管理会社の収支報告書が「何月分」を明記しているかも、管理会社選びのチェックポイントの一つです。
【画像】部屋ごとの家賃の支払日と入金日を一覧にした表計算シート
alt案:家賃の支払日と入金日をまとめた管理表
よくある質問(FAQ)
Q1. 12月に受け取った1月分の家賃は、今年の確定申告に入れますか?
A. 契約上の支払日が12月なら今年の収入です。支払日が1月なのに入居者が早めに払った場合は、来年の収入になります。
Q2. 12月分の家賃が年明けに入金されました。いつの収入ですか?
A. 支払日が今年なら、入金が遅れても今年の収入です。未収家賃として計上します。
Q3. 前受家賃を翌年の収入にすることはできますか?
A. 継続的な記帳や前受収益・未収収益の経理など、国税庁の通達の要件を満たせば、貸付期間に対応して計上する方法が認められています。
Q4. 管理会社からの送金日が1月でも、今年の収入になりますか?
A. 基準は入居者との契約上の支払日です。送金日だけで判断せず、送金明細で何月分の家賃かを確認しましょう。
Q5. 敷金は受け取った年の収入になりますか?
A. 敷金は預り金なので、受け取っただけでは収入になりません。返還しないことが確定した部分だけ、その確定した日の収入になります。
まとめ
- 家賃の計上時期は、入金日ではなく契約上の支払日で判断するのが原則
- 「翌月分を当月末払い」の契約なら、12月入金の1月分家賃は今年の収入
- 滞納分は未収家賃として計上、早払い分は支払日の年の収入
- 要件を満たせば、前受収益として貸付期間に対応した計上も可能
- 礼金は引渡日、敷金は返還不要が確定した日の収入
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