85歳でも入れる保険は必要?保険の選び方なども詳しく解説します!

85歳でも入れる保険

85歳からの保険は、すべての人に必要なわけではありません。医療費は公的制度で自己負担に上限があるため、貯蓄で備えられる人は新たに保険に入らなくても困らないケースが多くあります。

一方で、「葬儀代を家族に負担させたくない」「貯蓄が少なく入院時の出費が不安」「特定の人に確実にお金を残したい」など、目的がはっきりしている人には保険が役立つこともあります。

この記事では、85歳の公的保障でどこまでカバーされるかを整理したうえで、85歳でも入れる保険の種類、必要な人・不要な人、失敗しない選び方を解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の保険商品をすすめるものではありません。加入の判断は、ご本人やご家族の状況に合わせて、保険会社や専門家に相談のうえ行ってください。

目次

85歳の公的保障:医療費の自己負担には上限がある

85歳の方は原則として「後期高齢者医療制度」に加入しており、病院の窓口負担は所得に応じて1割・2割・3割です。さらに「高額療養費制度」により、1か月の自己負担には上限があります。

高額療養費制度は2026年8月に見直され、70歳以上の上限額も一部引き上げられました。一般的な所得の方(年収約370万円未満で住民税課税)の場合は次のとおりです(厚生労働省)。

区分(70歳以上)外来のみ(個人ごと)の月額上限外来+入院(世帯)の月額上限
一般(2026年7月まで)18,000円(年間上限14.4万円)57,600円
一般(2026年8月から)22,000円(年間上限21.6万円)61,500円

住民税非課税世帯の方は、外来の上限が8,000円から11,000円に上がる一方、年間の上限額は据え置かれるなど低所得者への配慮があります(日本経済新聞)。2027年8月には所得区分の細分化も予定されているため、最新の金額はお住まいの市区町村や後期高齢者医療広域連合で確認してください。

公的保障でカバーされない主な出費

  • 差額ベッド代(個室などを希望した場合)
  • 入院中の食事代の一部負担
  • 先進医療の技術料など保険外の治療費
  • 入院時の日用品・家族の交通費など
  • 葬儀費用(後期高齢者医療制度の「葬祭費」は自治体により数万円程度)

つまり、医療費そのものより「保険外の出費」と「葬儀費用」が、85歳の備えを考えるうえでのポイントになります。介護が必要になった場合は介護保険サービスを原則1〜3割負担で利用できますが、こちらも施設の居住費や食費は別途かかります。

85歳でも入れる保険の種類

85歳でも加入できる保険は、主に「健康状態の告知がゆるやかな保険」と「少額の保険」です。加入できる年齢の上限は商品ごとに異なり、85歳が上限のものも多いため、検討するなら早めの確認が必要です。

種類主な目的特徴注意点
引受基準緩和型の医療保険入院・手術への備え告知項目が数個に限られ、持病があっても入りやすい保険料が割高。加入後1年は給付が半額になる商品もある
無選択型の医療保険・死亡保険健康状態に不安がある人の備え健康状態の告知が不要保険料がさらに割高。持病の悪化による給付は対象外のことが多い
葬儀保険(少額短期保険)葬儀費用・身辺整理費用保険金は数十万〜300万円程度。高齢でも入りやすい商品が多い年齢とともに保険料が上がる、または保険金が下がる仕組みが一般的
一時払い終身保険相続対策・特定の人にお金を残すまとまった資金を一括で払い込む早期に解約すると元本割れすることがある
引受基準緩和型の死亡保険家族に一定額を残す持病があっても入りやすい加入後一定期間は病気による死亡の保険金が制限される商品もある

少額短期保険の死亡保険金は、法律で1人あたりの上限が決められています。また、生命保険会社の保険とは異なり、生命保険契約者保護機構の対象外である点も知っておきましょう。

85歳で保険が必要な人・不要な人のチェックリスト

当てはまる項目が多いほうが、ご本人の状況に近いと考えられます。ご家族と一緒にチェックしてみてください。

保険を検討してもよい人

  • 預貯金が少なく、入院時の数十万円の出費が家計を圧迫しそう
  • 個室入院を希望するなど、保険外の出費が多くなりそう
  • 葬儀費用を家族に負担させたくない
  • 特定の人(孫、お世話になった人など)に確実にお金を残したい
  • 相続税対策として生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用したい

保険は不要な可能性が高い人

  • 医療費や葬儀費用に充てられる預貯金がある
  • すでに終身保険や共済に加入している
  • 年金収入の範囲で、毎月の保険料を払うのが負担になる
  • 保険料の総額が、受け取れる保険金を上回りそう
  • 持病の悪化に関する給付が対象外で、加入しても役立つ場面が少ない

85歳の保険の選び方:6つのポイント

85歳からの保険選びは「何のために入るか」を最初に決めることがすべての出発点です。そのうえで、次の6つを確認しましょう。

  1. 目的を1つに絞る:入院費、葬儀費用、相続対策など、目的によって選ぶべき保険の種類がまったく違います。「なんとなく不安だから」で入るのは避けましょう。
  2. 加入できる年齢と保険期間を確認する:加入上限が85歳ちょうどの商品も多く、誕生日を過ぎると申し込めなくなることがあります。保障が一生続く終身型か、一定期間の定期型かも確認します。
  3. 保険料の総額を計算する:月々の保険料×払込期間で総額を出し、受け取れる保険金と比べます(次の章で詳しく解説)。
  4. 給付の条件と制限を読む:加入後一定期間の給付削減、持病の悪化は対象外、入院日数の上限など、支払われない条件を必ず確認します。
  5. 保険料の払い方を選ぶ:月払いは手元資金を残せますが、長生きするほど総額が増えます。一時払いは総額を抑えやすい一方、まとまった資金が必要です。
  6. 家族と受取人・請求方法を共有する:保険金を受け取る人、請求の手続きをする人を決め、家族全員が契約内容を把握しておくことが大切です。

保険料と保障のバランス:「払った額>受け取る額」になっていないか

85歳からの保険は保険料が高くなりやすいため、長生きすると払った保険料の総額が保険金を上回る「払い損」になることがあります。加入前に、何年で保険金と同じ額を払うことになるかを計算しておきましょう。

計算方法:保険金額 ÷(月々の保険料 × 12)= 保険料の総額が保険金に追いつくまでの年数

例(仮定)保険金月々の保険料追いつくまでの年数85歳加入の場合
A50万円5,000円約8.3年約93歳で逆転
B100万円8,000円約10.4年約95歳で逆転
C100万円12,000円約6.9年約92歳で逆転

※考え方を示すための仮定の数字です。実際の保険料は商品・性別・健康状態によって大きく異なります。

「逆転する年齢までに保険金を受け取る可能性」と「その間に払う保険料を貯蓄に回した場合」を比べると、保険に入る意味があるかが見えてきます。保険料を払い続けられるか、年金収入の中で無理がないかもあわせて確認しましょう。

契約時の注意点:家族が同席して内容を確認しよう

高齢者の保険契約はトラブルが起きやすいため、ご本人だけで決めず、家族が同席して内容を確認することが大切です。多くの保険会社でも、高齢の方の契約時には家族の同席や複数回の説明を求める取り組みを行っています。

  • 告知は正確に:持病や通院歴を隠して加入すると、告知義務違反として契約が解除され、保険金が支払われないことがあります。
  • 指定代理請求人を決めておく:認知症などでご本人が請求できなくなったときに、代わりに請求できる家族をあらかじめ指定しておきましょう。
  • クーリング・オフを知っておく:契約後でも、一定の期間内(一般的に8日以内)であれば書面などで申し込みを撤回できます。期間の数え方は契約書面で確認してください。
  • 乗り換えは慎重に:今の保険を解約して新しい保険に入ると、保険料が上がったり、以前の保障が受けられなくなったりすることがあります。
  • 書類を家族と共有する:保険証券の保管場所、保険会社の連絡先を家族が把握しておくと、いざというとき慌てずに済みます。

電話や訪問で強引に勧められた場合は、その場で契約せず、家族や消費生活センター(消費者ホットライン「188」)に相談しましょう。

保険以外の備え方

85歳からの備えは、保険だけが選択肢ではありません。保険に入らない場合でも、次のような方法で安心につなげられます。

  • 医療・葬儀用の口座を分けておく:医療費や葬儀費用に使うお金を別の口座にまとめておくと、家族も使い道がわかりやすくなります。
  • 限度額適用認定証・マイナ保険証を活用する:入院時に窓口での支払いを最初から上限額までに抑えられます。
  • 葬祭費などの公的給付を確認する:後期高齢者医療制度の葬祭費は、申請しないと受け取れません。
  • 今ある保険・共済を見直す:昔加入した終身保険や共済が残っていることもあります。保障内容と受取人を確認しましょう。
  • エンディングノートで希望を残す:葬儀の規模や連絡してほしい人を書いておくと、費用の見通しも立てやすくなります。

なお、亡くなった後は口座が一時的に凍結されることがありますが、相続人は一定額まで預金の払い戻しを受けられる制度もあります。葬儀費用の支払い方法も、家族で話し合っておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 85歳で持病があっても保険に入れますか?

A. 引受基準緩和型や無選択型の保険なら、持病があっても加入できる可能性があります。ただし保険料は割高で、持病の悪化による入院は対象外になるなど、給付に制限があることが多いため、条件をよく確認しましょう。

Q. 85歳を過ぎたら、もう保険には入れませんか?

A. 加入上限が85歳の商品は多いものの、少額短期保険の葬儀保険などには、それ以上の年齢でも加入できる商品があります。ただし選択肢は年齢とともに少なくなります。

Q. 子どもが親の保険料を払ってもいいですか?

A. 可能です。ただし、誰が契約者(保険料を払う人)で誰が受取人かによって、保険金にかかる税金が相続税・所得税・贈与税のいずれかに変わります。契約前に税務署や税理士に確認すると安心です。

Q. 認知症になったら保険金はどうなりますか?

A. ご本人が請求できなくなっても、指定代理請求人を決めておけば家族が代わりに請求できます。加入時に指定しておくことをおすすめします。

Q. 今入っている保険は解約したほうがいいですか?

A. 一概には言えません。高齢になってから同じ条件で入り直すのは難しいため、保障内容と保険料を確認し、保険会社や専門家に相談してから判断しましょう。

まとめ:85歳の保険は「目的」と「総額」で判断しよう

85歳でも入れる保険はありますが、公的制度で医療費に上限があるため、必ずしも必要ではありません。保険に入るかどうかは、次の順番で考えると失敗しにくくなります。

  1. 公的保障(後期高齢者医療・高額療養費・介護保険)で足りる部分を確認する
  2. 保険外の出費や葬儀費用など、備えたいものを1つに絞る
  3. 預貯金で備えられるかを考える
  4. 保険を検討するなら、加入年齢・給付条件・保険料の総額を比べる
  5. 家族が同席して契約内容を確認し、受取人や請求方法を共有する

大切なのは、ご本人とご家族が納得して「入る・入らない」を選ぶことです。迷ったときは、複数の保険会社やファイナンシャルプランナーに相談して比較しましょう。

※本記事の制度情報は2026年10月時点のものです。高額療養費制度は2027年8月にも見直しが予定されています。最新情報は厚生労働省やお住まいの自治体でご確認ください。

参考資料

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